アフィリエイト運用

アフィリエイターと確定申告#1確定申告とは&確定申告が必要な人

公開日:2022/02/01

田中保則

税理士

田中保則

アフィリエイターの皆さんの中には、「副業として気軽にアフィリエイトを始めてみたけど、確定申告って必要なの…?」「個人事業主になったけど今までと税金の申告方法は変わるの?」というかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は現役税理士として活躍されている田中保則氏に「アフィリエイトと確定申告」について解説してもらいました。

全3回のコラムです。確定申告ってなに?アフィリエイターにも必要なの?…と思っている皆さん、ぜひ、このコラムを通して確定申告のイロハを学んでいきましょう!

これから全3回シリーズとして、確定申告について紹介させていただきます。税理士の田中保則です。

今回は第1回目として「確定申告とは」「確定申告が必要な人」というテーマで解説します。税金や確定申告に馴染みのないかたでも理解しやすい内容を心がけていますのでぜひご一読ください。

アフィリエイターの皆さんは色々なきっかけでアフィリエイトをはじめたと思いますが、やはり大きな目的の一つは「収入を得る」ということでしょう。

しかし実際にアフィリエイトで収入が発生すると、「あれ、収入があるってことはこれに対する税金を払わないといけないの?」「このまま何もせずに、やり過ごしていたら脱税になってしまうの?」といった疑問がふと頭によぎる…というかたも多いのではないでしょうか。

そう、アフィリエイトで収入が発生したら「正しい申告、正しい納税」をすることが必要です。そのために行うことこそが、「確定申告」ですね。

原則、アフィリエイト収入は課税対象となりますので確定申告が必要です。

ただし、一部例外的に確定申告が不要な条件のかたもいます。気軽にアフィリエイトに取り組み始めたのに、確定申告ってなんだか難しくて不安だなぁ(汗)というかたもいるかもしれませんが、このコラムを通してご自身は確定申告が必要なのかどうか?も確認しながら学んでみてくださいね。

それではコラムを進めていきましょう。

確定申告とは所得を通して税額を算定し、税務署などに税務申告書を提出し納税する一連の流れを言います。

ですから、会社が納める法人税、個人が納める所得税、さらには消費税などあらゆる税について納付すべき税額を算定し税務申告書を提出する行為はすべて「確定申告」です。しかし一般的に「確定申告」と呼ばれるのは、個人が納めるべき所得税の確定申告のことです。

もう、おわかりでしょうが個人のアフィリエイターもアフィリエイト収入を獲得した場合には、確定申告が必要となります。

このコラムでも「確定申告=個人が納める所得税の確定申告」を前提として、お話を進めていきますので認識ください。

「所得税の確定申告」に触れる前に、少し所得税以外のお話をします。

まずは主な税金の種類について確認しましょう。

一般的に馴染みのないものも含めて多数ありますので参考にしてください。なお、自分で事業をおこなおうとする場合、思いもかけず納税義務が発生するケースが稀にありますので、ご注意くださいね。

今回の確定申告のテーマとなる税金は赤枠で囲った部分です。図を見てわかるとおり、所得課税の一部分の話ということになりますね。すなわちアフィリエイト収入は所得というカテゴリーに分類されて、税金の計算をおこなうことになります。

先ほど一般的に確定申告とは「個人が納める所得税の確定申告」とお伝えしましたが、確定申告は税務署に確定申告書を提出!納税で完了!!ではありません。

所得税の確定申告で国税である所得税は申告書の提出のタイミングで納税しますが、確定申告書を提出することで実は他の税目(他の種類の税金)の申告もしているのです。それが、地方税です。

地方税は確定申告書を提出することで同時に申告されています。所得税は国に納める税金ですが、地方税は自らの住所がある市区町村に納めるべき税金となります。地方税として申告しているのは住民税と事業税です。

住民税は所得税とは異なり、申告のタイミングで納税することはありません。住民税は、確定申告書提出後に各市区町村で納付税額を算定し、後に納税通知書による通知などによって納付します。

  • ※所得税の確定申告が不要でも住民税だけ確定申告が必要なケースがあります。
  • ※給与が収入の中心である場合は、確定申告者個人が納付するのではなく勤務先の給与から源泉徴収されるケースなどもありますので、詳細は各市区町村などにご確認ください。

また事業を営む個人(いわゆる、個人事業主)で収入が一定額以上ある場合は、住民税のほかに「事業税」という地方税を住民税とは別に課され納税する必要があります。

ただ事業税についても所得税の確定申告を行えば、各市区町村にて税額の算定が行われるので、「通知が来たものについて納税する」ということ以外に改めて必要な手続きを行う必要はありません。

このようにアフィリエイト収入などの副収入を得るということは、様々な税金に対し納税の義務が生じる可能性があることをまず理解しておいてくださいね。

話は少し逸れましたが、所得税の確定申告の話に戻りましょう。

まず「所得」という言葉を見聞きするけど「いったい何?」と思っておられるかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

「所得」とは、簡単にいうとこれに税率を乗じると税額が算定できる額(税額=所得×税率)のことをいいます。

  • ※税額控除などの制度を適用することがあるため必ずしも納付すべき税額であるとは限りません。

では所得とはどのように算定するのでしょう。その答えは簡単に言えば収入から経費を引いた差額となり、アフィリエイトでいえばアフィリエイト報酬から経費を引いた差額です。

そう、「それって利益じゃん!」と思った人もいるでしょう。

基本的には同じ意味に捉えても間違いではありません。ただ会計と税金の計算には微妙にルールが異なる部分があり、税額の算定のために税法に従っておこなった収益と費用の計算差額を「所得」といい、会社が会社法などの法律に従って作成した収益と費用の計算差額は「利益」といいます。

ちなみにサラリーマンの場合「収入ばっかりで費用なんか引かれてないだろ!」という意見のかたもいるかと思いますが、会社で所得税から源泉徴収される際には「給与所得控除」という経費に相当する額を控除したうえで源泉所得税は控除されています。

このようにサラリーマンの所得からも経費に相当する額を引かれているため「全く経費に相当するものがない」わけではないのです。

それでは所得が何を表しているのか理解できたところで、いよいよ確定申告が必要なかたについて、次の章でお話しますね。

このコラムを読んでいるかたの中には、本業は会社員なので確定申告なんかしたことがないというかたも多くいるのではないでしょうか?

それもそのはず。会社員のかた(=給与所得のみ)は、会社にて年末調整という源泉徴収事務を実施し、年間の所得税を確定するため、あまり確定申告に馴染みがないかたが多いのです。そんなかたのためにも、ここでは確定申告をしなければならない人について説明していきます。

アフィリエイターの皆さんが確定申告の話になった場合によく聞くのは「アフィリエイト収入が20万円以下だったら確定申告は不要です」という説明ではないでしょうか?これは所得税法の第121条にある「確定所得申告を要しない場合」という規定をメチャクチャ端的に表現したものとなります。

しかし、確定申告は大きく確定申告をすることができる人確定申告をしなければならない人の2種類に分けることができ、アフィリエイト収入のあるかたは主に後者に該当します。

まず確定申告することができる人は、例えば、住宅ローンを使ってマイホームを購入したり、思いがけず入院して多額の医療費を支払ったりした場合などに、確定申告をすれば納めた税金が還付されるという位置づけのものです。

下記に一例をあげさせていただきますので参考にしてください。

確定申告すれば税金が戻ってくる人の例

  • 給与所得者で住宅借入金等特別控除・医療費控除・寄付金控除などといった制度の適用を受けることができる人
  • 年の途中で退職した後に就職しなかったため年末調整を受けなかった人など

次に今回のメインテーマとも言える確定申告をしなければならない人です。
先に「確定申告=個人が納める所得税の確定申告」とお伝えしました。

しかし所得といってもその種類は多数あり、それに伴い確定申告しなければならない人もさまざま。大きくは以下リストにあげた通りです。ご自身の状況にあわせて、該当するかどうかを確認してみてください。

確定申告しなければならない人

  1. 一般の人
    • 1−1.事業所得などの各種所得(譲渡所得や山林所得を含む)の合計額が所得控除の合計金額を超える場合
    • ※ただし税額より配当控除額が多いときは、確定申告は不要
  2. 給与所得者
    • 2−1.その年中の給与等の収入総額が2,000万円を超える人
    • 2−2.給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所 得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える など
  3. 退職所得のある人
    • 3−1.企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある
  4. 年金所得者
    • 4−1.その年中の公的年金等の収入が400万円以下でかつ、その年金以外の他の所得の金額が20万円以下の人以外の人

上のリストを見てわかるように、一言に所得といってもいくつも種類があり、所得税法ではそれぞれの所得に対し課税するために以下の10種類に分類しています。

所得の種類

  1. 事業所得
  2. 給与所得
  3. 退職所得
  4. 不動産所得
  5. 一時所得
  6. 利子所得
  7. 配当所得
  8. 山林所得
  9. 譲渡所得
  10. 雑所得

それぞれの所得の内容についてザックリ説明したのが次の図です。

それではアフィリエイターの皆さんのアフィリエイト収入はどの所得に該当するのでしょうか。何となく推察することができると思います。

大体のかたは、2〜9について名称と内容から明らかに違うと感じられたのではないでしょうか?ということは…アフィリエイト収入は「1.事業所得」か「10.雑所得」のいずれかになります。では、事業所得と雑所得どちらに該当するかを説明します。

専業のアフィリエイターで毎月継続的に収入がある人はどちらでしょうか。

ご想像の通り「1.事業所得」となります。「1.事業所得」は、青色申告控除などの各種優遇措置を受けることができます。しかしこうした優遇措置を受けるには、事業開始の際に「開業届」や「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりませんので注意してください。

では毎月継続的に一定程度の収入が無いアフィリエイターの場合どうなるでしょう。
もちろん残りの「10.雑所得」として申告することになります。


皆さん、いかがでしたでしょうか?

今回は確定申告の基本的な内容やアフィリエイト収入は「事業所得」もしくは「雑所得」になるということころまで説明しました。確定申告が必要かどうかはアフィリエイト収入だけではなく、ご自身の所得や金額などによって変わるということも理解いただけたと思います。

また先ほど「青色申告控除」という耳慣れない言葉を登場させてしまいました。

そこで次回は、「申告の種類と所得税計算の基本的構造」というテーマでお届けしたいと思います。お楽しみに!

  • ※ご不明な点は税務署や税理士にご相談ください。
SHARE
田中保則

税理士

田中保則

税理士・インタースペース元取締役 管理本部長。ベンチャー企業CFOとしてVCからの資金調達、IPO、M&Aなどを経験。その後大規模税理士法人にて多様な税務やコンサルタント業務に従事し、特にフリーランス、ベンチャー支援には定評がある。アフィリエイト発展に現場で貢献した業界をよく知る税理士。

この著者の他の記事を読む

他の著者をもっと見る

ご注意ください

  • 本記事の内容は、2022/02/01更新時点の情報です。更新日より期間が経過している場合など、状況により現在の情報とは異なる可能性があります。
  • 一部、体験談などの執筆者の個人的な意見、株式会社インタースペース(アクセストレード)以外が提供するサービスの紹介が含まれる場合もあります。情報の内容には十分に注意しておりますが、万が一、損害やトラブルが生じた場合も責任を負いかねますので、内容をご確認の上ご自身の判断のもとでご利用ください。
  • 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載等を禁じます。

カテゴリーから探す

タグから探す

アフィリエイトをはじめよう!
無料新規パートナー登録
広告出稿を希望のかたはこちら
無料資料請求はこちら